2003/08/11

 

谷口広樹さんと松浦央果さんによる詩画作品『果樹の森』 現実をそっと離れて空想の森で一呼吸。ココロとカラダにビビっとふわっと、体感連載中。

 



017

 

赤い雨/2003


赤い雨が降ってきた

雨は激しく地面をたたく

街も空も水たまりも

傘をにぎった冷たい両手も

赤く濡れていく



わたしも街をいく人も

なにくわぬ顔をしているが

パレードに並ぶ人々は

高らかにこぶしをふりあげるが



この雨は

戦地の風を含んだものか

嵐の砂を巻き上げたのか

それとも

微塵になった人の叫びか



あなたの衣服は

赤い雨に染まっていく

それにかまう様子もなく

あなたはわたしに

優しいキスをもとめてくる



Copyright (C)2003 Hiroki Taniguchi, Ohka Matsuura. All right reserved.

 

谷口 広樹
(グラフィックデザイナー/絵師)


【PROFILE】

1957年 神奈川県生まれ。83年、東京芸術大学大学院美術研究科終了。日本橋高島屋宣伝部を経て、85年、有限会社ビセ設立。84年、第4回日本グラフィック展大賞をはじめ、85年、イラストレーター年間作家新人賞、95年、JAGDA新人賞ほか受賞多数。作品集に『芒格札(まんぐさ)の庭』(光琳社出版)がある。現在、東京工芸大学助教授。東京イラストレーターズ・ソサエティ事務局長。東京タイポディレクターズ会員。JAGDA会員。



松浦 央果
(詩人/ライター)

【PROFILE】

1968年、北海道生まれ。90年、玉川大学卒業後、イタリア・フィレンツェに約1年間滞在、西洋美術史など学ぶ。93年、エスモード・ジャポン卒業。96年、詩集『17 ju-shichi』制作。服飾パタンナーを経て、ライター・エディターとなる。身体の記憶や五感を通して発せられるリアルな言葉を大切にしている。