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第5回 マオマオネットインタビュー第3弾 |
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HEAVENS
小松 敦さん
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マオマオネットでは、さまざまなジャンルで活躍していらっしゃるクリエーターの方々に毎月お話を伺っていきます。なにかをつくりあげるために、どんな風な考え方や過程を経ているのか、いろいろなものがカタチになるまでのプロセスに重点を置いて、ものづくりに関するお話を聞いていこうと考えています。
できあがった作品の側面や、裏側のこぼれ話なんかも聞いていけると楽しいですね。
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マオマオネット第4弾インタビューは、 ヘアーデザイナーであるHEAVENSの小松敦さんをお迎えします。 |
![]() オープンしたばかりのHEAVENS HARAJUKU
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| ●小さいときの“夢”をおしえてください | |
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小学生の時の憧れは、発明家ですね。エジソンとか松下幸之助とか…。手先が器用だったので、プラモデルをつくったり、絵を描いたりするのが好きだったんです。そのうち、ハンダゴテでラジオをつくったりするようになった。中学の時の担任の先生に、「おまえが大きくなる頃には、電卓は持ち歩けるくらい小さくなっているだろう。そういうものをつくったらどうか」みたいに言われたりしてました。その延長で電気工学の高校に入ったんです。エンジニアになろうと思ってたんですね。 |
| ●どんな少年時代を過ごしましたか? | |
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小さいときは、少林寺拳法を習ったり、TV番組の「ミュンヘンへの道」に影響されてバレーボールをしたりするような、ふつうの少年だったと思います。武道を習っていたこともあって、高校では応援団をするような硬派な一面もありました。 高校は、男子校だったんですけど、だんだんおしゃれに興味のでてくる年頃じゃないですか。僕は、山形の鶴岡という城下町で育ったんですけど、田舎だから、おしゃれしたくても思うようにいかない。だから、夏休みに東京に遊びに行っては、いろいろ仕入れて帰る、みたいなことをやっていました。 当時、雑誌の「POPEYE」が創刊された頃で、他には「MEN' S CLUB」くらいしかなかったんじゃないかな。ナイキのスニーカーなんて、田舎の友だちは見たこともないんだけど、「ポパイにでてるスニーカー、小松が履いてるのと一緒じゃん」みたいに言われるのを、密かに喜んでました。田舎だと簡単に一番になれるんですね(笑) |
| ●どんな風にして、美容師になろうと思っていったのですか? | |
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いやぁ、それで一応、洋服はなんとかなってたんです。でも、髪の毛はどうにもならなかった…。雑誌のモデルのようにしたくて、切り抜きを持ってパーマ屋さんに行くんですけど、僕の毛はくせが強くて…。スンゴイ頭になってしまう。おかげで、パーマをかけてはスレートパーマでとったり、をくり返してました。実際、自分の素材(=毛質)を知らなかったし、パーマ屋さんだってどうしていいかわからなかったと思います。 そのうち、自分で自分のヘアを切るようになってました。遊びで、友人のも切ってみたり。だんだんと、部屋にファッション誌が増えていくんですけど、そのなかに、なぜか女性自身のへアカタログがあったりして…(笑) つくることが好きだし、だんだん美容師という職業を意識するようになっていきました。 そこからは、速かったですね。須賀勇介さんが「NYで活躍する男性美容師」として雑誌で紹介されているを知って、美容っていう、そんなカッコイイ仕事、自分もやってみたいと思ったんです。 |

| ●美容のシゴトのおもしろいところは? | |
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時代の流れを読んだり、技術的なセンスを磨いたり、自分の成長が必要になる仕事です。美容師になって20年になりますが、なかなか上手くできなかった時代から、ある程度できると感じるようになった頃も含めて、前よりもこんな風にできるようになったなと、具体的に成長を感じられるのが楽しいです。自分からアイデアも出せるし、技術もついていくみたいに、常に新鮮な感じを味わえるし、ひとりのお客様に対してデザインを提案することで、相手の喜びや輝きを見いだしながら、人に与えてゆける。それが美容の良さだと思います。 |
| ●小松さんは、全国的な規模と高いクオリティで知られる“SHIMA”で、美容師としてのキャリアを磨かれ、大活躍されましたね。 | |
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実はSHIMAに入る前のお店で、すでに技術者として稼げるようになっていたんです。でも、僕的に、上京して東京にいる以上、高いところを目指したい、という気持があった。そのためには今しかないという気持で、SHIMAに入ったんです。22歳のときでしたね。 SHIMAに入って、生活は激変しましたよ。入ったその日から、終電。朝も早くから出勤っていう美容漬けでしたね。すでに2年のキャリアを持っていましたけど、前の経験はそのままにして、アシスタントからやりました。自分としては“血を入れ替える”みたいな意識でやってましたから(笑) 技術的な面も、SHIMAのシステムでできるように練習しました。そのかいあってか、スタイリストとして1年でデビュー。その2年後には、当時、中核をなしていた吉祥寺店の店長になってました。 今思えば、25歳でSHIMAの店長をやるって、大変なことですよね。自分に任せる、経営者側も勇気があるなって思いますよ(笑) |
| ●SHIMAには、延べ7年間いらっしゃったんですよね。その後、独立して、HEAVENSを開こうと思ったきっかけは? | |
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店長になって3年たつと、SHIMAはもう10店舗くらいに広がっていたんです。そこで、全国的な教育を統一・管理する必要がでてきて、僕が担当することになったんです。28歳でディレクション。時代の景気の良さと、若いからやってしまえー、みたいな勢いがあったんでしょう。 そこで、だいたい目標が出来上がってきました。底辺の底上げや絶対的な技術のクオリティなどを、ある教育の方法をもって教えていく。そして、全店のレベルを統一するという目的は達成されたと思いました。 そのときに、一美容師・小松としては、どうなんだ? という気持がわき起こったんですね。将来的なことを含めて、自分でデザインしていくことは、どういうことなのか、と…。 そして、縁あって、渋谷でHEAVENSをオープンすることになったんです。 |
| ●HEAVENSをつくるときには、どんなところに力を入れようと思いましたか? ネーミングのコンセプトなども教えてください。 | |
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渋谷という中央の場所ですから、力のあるサロンが多いわけです。その中で、自分の価値観が、どれだけ多くの人に理解して感じてもらえるのか、ということにチャレンジしたい、って思っていました。 HEAVENは天国や楽園という意味ですけど、美容師本来のもつ新しさや素敵さを追求したいという気持が強くありました。来てもらえるお客さんにも、働く美容師にとっても、楽園のようなスペースをつくれたらいいなと…。そして、固有名詞にしようということで、sをつけた“HEAVENS”に決めました。 初めは、ちょっと大ゲサかなぁなんて、恥ずかしく思っていたんですよ。でも、やっちゃえば、それに負けないようなデザインをしなくちゃだめですからね。たまたま、大勢の人に見て感じていただけて、今にいたるって感じですね。 |
| ●スタイルをつくるとき、「本当に似合うヘアデザインを追求する」ことを大切にされているそうですが、小松さんにとって“本当に似合う”とは、どんなことですか? | |
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いろんな方に、「なぜ、そのようなスタイルをつくれるのですか?」と、質問されても、初めはわからなかったんです。でも、どうやってオリジナルをつくろうかと自問しているときに、“似合う”というテーマのようなものに結びついて、自分のデザインは生まれてくるんだと気づいたんです。そして、「似合うってなんなのか?」という点に、エネルギーを費やしているから、結果として、みんながいいねと言ってくれるんだなと思っています。 では、似合うスタイルにするために何を意識するか。僕ら美容師は技術屋さんじゃないですか。まず、技術屋として、“自分を知ること”がすごい大切なんですよ。どういうヘアスタイルが好きで、技術は何が得意か。 例えば、どんな条件や状況でも、人にはめることができる技術が10コある、という自信があれば、それだけのことができるんです。でも、それが1コしかなかったら、お客さんからズレてしまって迷うことになる。ボブならボブ、ショートならショート、ロングならロング、パーマならパーマ。そういう中で、自分が得意とするものが前提になって、似合わせるための答えが見えてくる。 骨格などの問題より、相手の生活感や価値観を、どれだけ感じられるかが大切になってくると思います。その上に、素材が入ってくる。そこを、きちんと理解した上で、自信があるモノを提供していけば、絶対に“似合ってくる”ものがあるんです。迷わずに、というところが大切かな。逆な言い方をすれば、自信がないのに提供していても、“似合ってこない”と思うんですよ。 |

| ●すでに3店舗を出店されていますが、どんなビジョンのもとに展開していますか? | |
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僕の後に、育ってきたスタッフのためのスペースが必要になってきたから出店する、という感じで増えているので、全国的に店舗を展開することなどは、ぜんぜん考えていないです。理想をいえば、1つの大きなサロンで、スタッフみんなで仕事できたらいいなと思います。けど、体育館みたいな所にイスが、だぁっと並んでるっていうのも嫌じゃないですか、工場みたいで(笑) 基本的に、自分たちの目の届く、みんなが互いを理解しあえるくらいの大きさでいいと思ってます。 今は、週のうち4日、3店舗全部のサロンを、くるくるまわっています。僕は、やっぱりサロンワーカーです。もちろん、オーナー業もあるし、経営もキライじゃないですよ。ビジネスも楽しいですけど、やっぱりサロンに立って、お客さんやスタッフのことを感じられるから、HEAVENSの矛先を決められるんですよね。 最近、新しくつくった原宿のお店は、今までとは少し違った雰囲気になってるんですよ。全体的にオフホワイトで、昔っぽいビンテージなテイスト。お客さんもスタッフも、一番いい状態で時間を過ごしてもらって、キレイにしたい、キレイになりたいという気持をもちながら、日常にはない安心感を味わってもらえたらなと思っています。 |
| ●忙しい毎日だと思いますが、自分のための栄養補給になるような“息抜き”は、どんなことをしていますか? | |
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スポーツもやりたいんですけど、時間がないですよ。だから、今はカメラです。ほとんど毎日、持ち歩いていますよ。けっこう、自分なりにイケテルと思っていますねぇ(笑) カメラって、独特な視線が見つかるんです、ものの味方に関して。同じモノを撮っても、ちょっとした目線の高さで違ってくる。オタクっぽいんですけど、ヘアの見方にもつながって来るんですよ。いろんな見方の参考になりますね。 あとは、旅行かな。これに関しては、時間をつくるようにしてます。新しいもの好きなんだけど、伝統的なワビサビとかも好きなので…。京都の街並みなんて、どこを歩いても落ち着きますよね。東京では、どこでもBGMがかかっているけど、お寺には、そういった音がないでしょ? そういう空間とか時間って、貴重ですよね。 |

| ●音楽は、どういったジャンルを、よく聴きますか? | |
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店でかけるBGMは、リラックスできるというか、うるさくない、邪魔にならないものをかけます。でも、自分では、60〜70年代のものしか聴かないですね。ロックとかソウル、ビートルズとかストーンズとか。今だと当たり前すぎですか…。でも、やっぱり60年代の音楽は、どれをとっても好きです。 当時は、それ自体まだファッションになってなかったと思いますけど、その時代のヘアやファッションはおもしろいし、その時代の空気感が好きなんです。 特に、ストーンズの写真を撮っていたデビッド・ベイリーという写真家のモノクロームな世界が好きですね。自分でも、そうしたモノクロームな世界を撮りたいと思っていたんですけど、やっぱり時代の空気が違うんですよ。同じ機械を使って、同じようなシチュエーションをつくったとしても、流れている空気が違う。あの頃のロンドンだからカッコイイんでしょうね。そういう時代に憧れちゃうから、昔のカメラに思い入れが入っちゃうんです(笑) |
| ●20年後の自分はどうなっていると思いますか? | |
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60歳かぁ、ハサミ持ってるかなぁ。おそらく10年後は、まだやっているでしょうね。サロンでも撮影現場でも、個人的な成長を感じられて、アイデアも出てくるうちは、年齢に関わらず続けていくと思います。これからは美容界のキャリアも長くなっていくでしょうから、新しい時代になっていきますよね。60のおじさんになっても、若い人をうならせるくらいのカッコイイ頭をつくれてたら、いいなと思います。 ただ、20年後の美容っていうのが、すでにどうなっているかわからないですからね。今でこそ、日本人は髪型をしょっちゅう変えるけど、こんな頻繁に大きな地震が起こったり、会社がつぶれたりしてたら、他にもっと重要なことがでてくるかもしれないし…。 ファッションも自然回帰みたいになって、環境とカラダにいいことが一番大切! みたいな、ある種、宗教的な新しい価値観も生まれてくるかもしれない。そうなると、髪を切るためのデザインより、髪の美しい質をつくるデザインへ移っていくかもしれないでしょう? 「○○美容師のシャンプーはスゴイよ」なんてね。 そうなると、僕は、「あの人、昔はカットでならしてたらしいんだけど、時代はシャンプーだから…」なんて、言われてたりしてね(笑) |
| ●これから美容の道をめざす人々に、なにかアドバイスをお願いします。 | |
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美容は、人を美しくするハッピーな仕事。自分の成長が感じられて、人にハッピーを与えられる、自分の価値観によって自分の存在価値を感じられる、とても素敵な仕事だと思う。若いうちは、スタンダードなことを勉強したり、技術やセンスでも、なにか上手くいってないことがあると思うけど。でも、そういう時期が大切なこともあるから。 ベタな言い方だけど、夢とか希望をもってくださいって言いたいです。美容師自身が元気なことがまず大事かなと思うから。美容師が苦悩しててもねぇ、あんまりよくない。真剣にはなるけど、苦しむ必要ないと思うよ。今やってる楽しさを、技術や美容全般に生かせるようになってきたら、美容師としてイイと思います。自分が成長してきていることを感じられて、それを人に伝えられるようになると、けっこう美容はOKなんですよ。僕は、今となっては、天職と思っていますから。 |
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○小松 敦 Atsushi Komatsu |
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HEAVENS
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