UP DATE:2002.02.28
 
さまざまな世界で活躍するクリエーターに、昔の自分、今の自分、そしてこれからの自分のお話を伺います。子どもの頃はどんなだった? どうして今の仕事を選んだの? これからどんなことするの? いろいろな方向からお話を聞くミニ自叙伝的インタビューです。

マオマオネット インタビュー第18弾
ヘアスタイリスト
関本亜希子さん
 
Akiko Sekimoto

裏原宿の一軒家、そこには、自然の光がさんさんとふりそそぎます。そんな贅沢な空間のサロン「アウラで、新しくチーフスタイリストとなった関本亜希子さん。彼女が大切にする「自然体」とは?

 


小さい頃はどういう子供でしたか?
高校までずっと熊本で生まれ育ちました。子どもの頃は、いわゆるおてんば娘でした。なぜか海賊になりたくて、大きくなったら絶対なってやる!と思っていました。ディズニーのカリブの海賊を見て,
あこがれていたようです(笑)。あと、刑事さんにもあこがれましたね。ちょうどその頃、テレビで柴田恭平の「危ない刑事」を放映していて、なんか自分の波長に合うなと。すぐ「よーし、それになってやろう」と思っていたようです。

その頃、一番熱中してやっていたのがハンドボール。中学高校と6年間やってました。中学校の時は、夜10時頃まで、毎日のようにハンドボールに明け暮れていました。一番楽しかったですね。中学は地元の友達ばっかりで、なにをするにもいっしょで、ふざけてばかりいました。もう元気いっぱい! まあ田舎の子供なのであたりまえですが、美容に興味を持つこともなく、健康優良児として育っていました。日焼けも半端じゃなく、水着、ブルマー、ユニフォームを交互に着て遊び回っていたので、日焼けあとが何段階にもなっているほどすごかった。高校は受験校でしたが、相変わらずハンドボールをやってました。でも、中学ほどは真剣に取り組んではいなかったように思います。成績はというと、赤点ばっかりで、よく親が呼びだされてました。

そんな健康優良児の関本さんが、美容に興味をもったのはどうしてでしょう?
実をいうと、なりゆきなんです(笑)。
絵を描いたり、ものを作ったりするのは、大好きでした。洋服のデザイナーなんかすごくあこがれていました。高校生の頃も、体育会系ではあったけれども、おしゃれにも興味があって、ジーンズとか古着なんか大好きでしたね。ただ、デザイナーという仕事って、なんとなくデスクワークのイメージがあって。体を動かしながら、物をつくれる仕事がいいなあと漠然と思っていました。もしいまの職業を選んでいなければ、大工さんとかがいいかもしれませんね。

結局、美容師を目指したのはどうしてですか?
母親が美容室をやっていたのです。街にある普通のパーマ屋さん。いつも邪魔をしにいっていました。でもホントは、やりたくなかったんです。子どもの頃は、親が忙しくて全然遊んでくれなかったので、「美容師なんていやだな」と思っていました。それがなんとなく気がついたら、自分が美容師になっていたんです。

そして美容学校に入学した訳ですね?
短大の時に、いろいろなサロンへ実際のお客として行ってみました。自分が一番気に入ったサロンは、カキモトアームスの他にもありましたが、結局そこは受験せず、カキモトアームスで働きたいと思いました。まあ、なんとなく直感で決めた!って感じですね。
ところが入社一日目で辞めたいと思ってしまった! 仕事もわかんなかったし、先輩も怖かったし。もちろん、結局はやめなかったのですが。それからは、やっぱりがんばりましたね。中高のクラブ活動よりもがんばった! 大袈裟ですが、私にしては今までの人生の中で一番がんばった時期だったと思います。

仕事をしていて、どういうことが一番大変でしたか?
大変というわけではないのですが、実は私は同期入社の中で技術者になるのが一番遅かったんです。お店ごとにディレクターのテストを受けるのに、私の場合なかなか受からなかった。もう、何度も何度も受けていました。だからたとえば他のお店へ手伝いに行くと、同期の下でアシスタントすることになる訳ですよね。それがすごくくやしかったです。今では、それでよかったと思っていますけど。その時のディレクターが、いま原宿で「ピカソ」というサロンをやってらっしゃる、小澤英夫さん。小澤さんには、鍛えられましたし、怒られもしました。まあ、私の師匠ですね。その小澤さんが辞められるときには、怒られ隊の代表みたいな私だったんですが、なぜか涙がでてきました。

そして、その数年後、ご自身もカキモトアームスをでられますよね?
とにかく忙しかった訳ですが、そのまま突っ走ろうと思えばできたかもしれません。カキモトアームスではたくさん勉強をさせてもらいました。でも、それ以外のところをなんにも知らなくてもいいのだろうか?と思い始めていたんです。特になにかあったわけでもないのですが、今と違う自分を経験してみたかったんです。いままで「自然体」で生きていたはずが、少しずつ違ってきた自分に気づいたのかもしれません。技術的にも自分で少しできるようになってきて、お店と違うイメージも、自分で試してみたかったのかもしれません。とまあ、いろいろ考えた結果な訳です。でも正直にいうと、やっぱりもったいないことをしたなあと、辞めてから思いました。ちょっと格好悪いんですけど。なんといっても私、自然体ですから(笑)、そのときの本音をいえばね。

やめてからはどうされていましたか?
大体、3ヶ月くらい休んでいました。そのあいだは、まあ、ごろごろぶらぶら。実家にいたり、旅行にいったり、「自分」を休めていました。

それから今の「アウラ」で美容師活動再開ですね。
「アウラ」は、第一印象がいままでのお店と違ってました。立地的にも裏原宿の一軒家という贅沢な空間。でも、原宿なのにそこにはすごく静かな空気が流れていました。なにか、いい予感を感じましたね。
いまは、仕事がすごく楽しいです。生活も仕事も自然体。仕事も生活の一部なんです。お客さまに接して髪の毛をカットしているときも、他のスタッフがカットしているときも、すごく楽しい。それは、小澤さんにカットを習ったからだと思っています。うまくいえませんが、小澤さんからは、美容師としての「美学」のようなものを学んだように思います。ものをつくるには自分を信じるしかないということ、自分を信じていいものをつくること。 それがイコール、お客様にも気に入っていただけるものになるということです。そういうことを、 日々のサロンワークの中で、お客さまといいコミュニケーションをとりながら表現していこうと考えています。

いま関本さんは、「アウラ」のスタイリストとしてチーフ的な役割をされてますね。お店のこと全体を考える時、どんなことに注意されてますか?
今年のはじめから、前任の田制さんから引き継ぎました。「アウラ」のコンセプトにある「自然体」を演出できる静かな空間、そんな空気を作りたいですね。そして、スタッフ間でなんでもいえる環境づくり。「みんなの個性をだそうよ!」ってよくいっています。ひとつのサロンにいろいろな個性の人がいた方が、お客さんも楽しいだろうし、美容師の仕事って、そういうことがプラスになる職業だと思います。

昔から担当しているお客さんがいるのですが、回を重ねる毎に、どんどんいい風に変わっていかれるんです。初めのころは、すごく保守的なお客さんだと思ってましたが、最近では、話していると、私自身がすごくいいパワーをもらうくらいです。一般に、お客さんはいつもここに来て変わりたいと思っている、冒険したいと思っている、と私は考えています。だから私は、少しだけ「こうすればいかがですか?」って提案する。そして、ちょっと押してみる。お客さまも私を信頼して、やってみようかと思ってくださる。そんなやりとりを繰り返していくうちに、その人が、どんどんきれいに、どんどんかわいく変化していく。それが理想的。こういうやりとりを通して、その人の個性の幅が増やせていくのって、すごくうれしいですね。

ちょっと仕事とは離れますが、一番大切にしていることは?
やっぱり「自然体でいこう!」ということですかねえ。あと、そして友達はやっぱり大切です。友達と住んでいますが、家に帰ると、もうずっとしゃべってるんですよね。私は、よく人間観察するタイプなんですよ。電車に乗ってても、歩いていても、誰かの上から下まで、靴から、鞄から、もちろん髪型まで見てる。そして、勝手に分析するのです。余計なお世話ですが、「髪型こうすればいいのに」とか、頭のなかで勝手に提案したりするのです。人間観察していて、インパクトのあった人のことなんかを、帰ったら事細かに友達に説明するのです。そんなこんなで、私の話を聞いてくれる(笑)友達は大切ですね!

お休みには、なにをされてますか?
まあ、あんまり文化的なことは、やってないです。とにかくぶらぶら、ぶらぶら、街を歩いています。渋谷の街は、ホントどこへ行っても行ったことがあるところばかりなほど! でもまた飽きずにぶらぶらするのです。そんなことから、街の空気を感じ、なにか目に見えない情報が、からだのなかにどんどん入ってくる気がします。もちろん、人間観察も怠りませんよ。こういう一見ムダに思えることが、実は私たちのような仕事にすごく役立つ情報なんだという気がしています。雑誌、テレビ、映画、その他いろいろなものに情報が詰まっているとは思いますが、なんにも編集されていないという点で、街にはすごく情報が潜んでいるように思うのです。

じゃあ最後にこれからの、関本さんについてきかせてください。
うーん、「自然体」で、かな。

取材・文/佐藤理


Akiko Sekimoto's Work

 

 

 

 



【関本亜希子プロフィール】

1974年熊本生まれ。山野美容芸術短期大学卒業。kakimoto armsで6年間在職、うち4年間をスタイリストとして働く。現在、原宿auraのチーフスタイリスト。

aura http://www.mao2.net/aura/
e-mail aura@mao2.net



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