いままで見た映画の中で、何が一番好きか、と聞かれたら困るけど、間違いなく候補に挙がるのがこの映画、忘れちゃいけない「バンデットQ」。今回は特に好きな映画だから余談が多い、覚悟して欲しい。
原題は「Time Bandits」。いつもなら、「"Q"ってなんやねん? どこに"Q"がついてんねん? これだから日本の配給会社はバカで……」とかって、思わず愚痴のひとつもこぼしそうなトンチンカンきわまる邦題だけど、それが全然気にならないほど好きな映画だ。それにしても、「Q」がどこからやって来たのか気になるなあ。その昔、定期購読していた「中2時代」の付録の複製チラシ(当時、映画のチラシを集めるのが流行っていたらしい)には「時空を超えて、ステキな盗賊団"Q"が大暴れ!」とか書いてあったけど、本編には一言も出てこないぞ、"Q"。まあ、イギリス映画で、ショーンコネリーが出てるから、007と勘違いしたのかも知れない。って、あれは"M"か。制作費だけでB級というレッテルを貼られてしまったが最後、タイトルさえも勝手に変えられちゃうのが仁義なき映画界。興行する方は映画の中身なんて見ちゃいない。ジーン・ハックマン主演の「サンタリア・魔界怨霊」って映画があるけど、「サンタリア」(って何?)も「魔界」も「怨霊」も出てこない、かなりシブイ社会派カルトテーマの作品だった(恐怖映画なのは間違いないけど)。ダン・オバノン監督の「バタリアン」なんて、原題は「リターン・オブ・ザ・ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」だぜ!「バタリアン」って、勝手に作るなよ! そりゃ、確かに原題は長すぎるかも知れないけどさ(しかしアメリカン・オタキングのダン・オバノンは、この邦題を聞いて驚喜したという。流石だ)。ってな余談はさておいて。
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彼らが"Time Bandits"、夢と時空を又にかける大盗賊団だ!
ちゃんと主役のケビン君を入れると7人の小人になっている。ニクイ!
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んで、彼らを追っかけてくる迫力満点の「神様」。
コマ撮り感覚がイイ気持ち、最高。
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んで、バカだけどかなり怖い「悪魔」。
彼の子分もいい人ばかりだ。
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ごく普通の中流家庭に生まれたケビン君、お父さんとお母さんはテレビばかり見ていて全然遊んでくれません。(そのテレビのくだらなさが、もうスッゲーくだらない。このくだらなさを映像化できるセンスの凄さ!)ある夜、ケビン君が寝ているといきなり寝室の向こうに森林が広がり、白馬に乗った鉄兜の騎士が飛び込んでくるではありませんか! しかし、気がつくと騎士はどこかへ消え、あたりは何事もなかったかのようです。次の夜、ケビン君は懐中電灯とポラロイドで完全武装し、
怪現象を手ぐすね引いて待っていました。すると、そこに現れたのは猛烈にやかましい6人の小人さん達だったのです! そればかりか、小人さん達は神様から地図を盗んで来ちゃってたので、神様ったら怒髪天を突く勢いで追っかけて来ちゃったからさあ大変! 地図には神様のミスで出来た時空の抜け穴がたくさん記されており、ケビン君と小人さん達は時空を又にかけ大冒険! 地図を狙うおっかない悪魔まで加わって、上や下への大騒ぎ! どんな時代に行くのか言っちゃうと面白くないから、みてねーみてねーみてねー(サンシャイン水族館)。はじめはうっとおしかった小人さん達がどんどんステキに見えてきて、仲間って感じが最高。離ればなれになって、また会えるとホントに嬉しい。マヌケに見えてた悪魔が後半になるとマジで怖い。んもースゴイ。
この映画はよく、「父親探し」に例えられるけど、次々現れる「父親候補」(小人さん、悪魔、神様も含む)なおじさん達も、思いっきり一長一短で楽しいったらありゃしない。テリー・ギリアム監督の描き方はすごいブラックなんだけど、愛にあふれてるからイヤな後味が残らない。
映像も美しい。昔のテリー・ギリアムの映画って、ちょっと朴訥なカメラワークだけど、なんか真面目で大好きだ。「Q」でも、思いっきり荒唐無稽な世界と、妙にリアルな世界が渾然一体となって、独特の深みがでてくる。テリーさんのすごいところは、「汚いモノを汚く」写せるところ。油やドロやアカで汚れた浮浪者の服とかが、もうすごい汚い。こういうリアリティって、欧米の映画にはあんまりない。(漂流してるのに平気で化粧してたりして。)でも、着てる人がいい人なので嫌悪感がわかない。ホントに汚いのに、その場にいたら頬ずりできちゃいそうな感じ、これがスゴイ。最近の傑作、「12モンキーズ」でも、この辺のリアリティが話をグッと引き締めている様な気がする。それにしてもすごいんだな、この下のキャプチャの街の風景。キャプチャ見てもわからんと思うが。それまで不毛の砂漠を歩いていて、いきなりリアリティな「生活」が撮されて、なんか泣けちゃう。このミケーネ時代のエピソードは一番好きだなあ。
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リアリズムな牛男。ミノタウロスってヤツだ。
ショーン・コネリーと大迫力の肉弾戦!
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自然照明のみ?のミケーネの風景。
ドキュメンタリーと見まごう、すごくリアルな撮影。
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町の人の息づかいが感じられるような感動的な風景描写。
いきなり物語がぐぐっと重みを増す、号泣。
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帆船の帽子をかぶった大巨人。
シンプルな特撮でも巨大感満点!
ゴジラの100倍巨大に見えるぞ。
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好きと決めたらアバタもエクボ、どこを取ってもその映画のオーラがあふれている気がする。あなたにも、いくつかあるでしょ、そういう映画。たとえば「ルパン三世・カリオストロの城」のオープニングでちょっとヘンな主題歌が流れるけど、映画の中では見事にマッチしていてしびれちゃったりする感じ。バンデットQ(以下、「Q」と呼ぶ。)の主題歌(ジョージ・ハリスン)も、曲だけ聞いてもあんまり耳に残らないだろうなあ、でもこの映画のラストでは特別な輝きをもって聞こえてくるのだ。どのカットを見てもワクワクして、なんかじっとしていられないような、そんなステキな映画が「Q」だ。
198X年、静岡、公開当時、「幻魔大戦」のオマケで「Q」を観たオイラは、劇場を出るとき「幻魔大戦」の事なんか全然忘れちゃってた。(前半はステキだったけど、幻魔大戦。)同じ頃、名古屋では将来画家になるO君が、家族と一緒に観に行った「Q」が忘れられず、一人で学校をさぼって再び観に行き、大目玉を喰らっていた。僕らが何故忘れられなかったかと言えば、「かっこよかった」からでも「楽しかった」からでもなく、「すごかった」からなのだ。チビッコ達は、おそらくこの映画ではじめてその感覚を味わった。
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悪魔のお城でみんなをおびき寄せるためのワナはなんとバラエティーショー。
カモンベイベーなケビンのパパが異常にリアル、 失禁モノ。
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これまたシンプルで効果的な特撮。
悪魔の城はまさに悪夢のワンダーランド!
そんでもってラストの種明かしがもうタマラン!
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それにしても、このラスト。詳しくは書かないけど、こんな終わり方、なかなかないぜ! たとえば、「トトロ」をはじめとする宮崎駿作品って、見てるうちは泣くほど楽しいんだけど、終わった後にすごい空虚な感じするじゃん、「ああ、オレの人生にはなんて夢がないんだろう」とか、なんか作中人物にとり残されて、仲間はずれにされたような寂しさ。でも、オレの「Q」はそんなことないね! 確かに、未来は見えなくて、いろんイヤな事や思いもしなかった事があるに違いない。それは本当だ。何よりも、そこに一人で行かなくてはいけない不安。でも、負けるな、戦いは始まっちゃったけど、頑張れ、オレも不安なんだからっていう、武者震いが止まらないメッセージ。テリー・ギリアム監督は、みんなと対等に、並んで走りながら、友情に満ちた声をかけてくれる。「トトロ」観た後のチビッコには夏休みの宿題に立ち向かう気力なんて1カロリーたりとも残されちゃいないが、「Q」観た後だったら矢でも鉄砲でも持ってきやがれ!、だっ! 至福とは、「安らぎ」とか「癒し」だけじゃない。
こうして戦いは始まり、「未来世紀ブラジル」、「バロン」へと続いていく。三部作、必見。
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いきなり社長みたいな「神様」。んもー最高。
余談だが後ろの未来メカは、オイラが4歳の誕生日に買ってもらった「ミクロマン」の
「タワー基地」の機首パーツに似ている様な気がする、
とこの映画を初めて観た16年前から思っていた。
たった今、資料(タカラSFランド大全集)で確認したら、おおっと、まさにその通り!
細部まで忠実にオモチャを再現してあって感心感心。
冒頭のケビン君の部屋の床にはタワー部のパーツが転がっているのも確認できた!
ああ、誰かとこの感動をわかちあいたいモノだなあ。
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最後になったけど、主役のケビン少年だ。
余談だが、彼が時間の旅に持っていくポラロイドカメラは「SX-70ランドカメラ」、
現在リバイバル販売されているのは「600ランドカメラ」なので種類が違う。
「SX-70ランドカメラ」はシンプルでカッコイイので中古で高値がついているが、
筆者は10年前に2000円で手に入れた。自慢自慢。
余談ついでに、このカメラのフィルムは10枚で1800円もする。
ケビン君はバシャバシャ撮影してたけど、お財布は大丈夫かなあ。
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次回、魔術師、ダグラス・トランブルの到達点、「ブレインストーム」。
「バンデットQ」('81)
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製作総指揮:
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デニス・オブライエン、ジョージ・ハリスン(主題歌もね) |
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制作、監督、脚本:
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テリー・ギリアム |
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脚 本:
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マイケル・パリン |
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出 演:
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ショーン・コネリー、クレイグ・ワーノック、イアン・ホルム、シュリー・デュパル、デビッド・ワーナー、ラルフ・リチャードソン、ケニー・ベイカー弥
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LD発売元:
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東北新社 |
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販売元:
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キングレコード |
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多分LDは絶版、廉価版ビデオも入手難。レンタル屋にはあるかな?せめて早期のDVD化を切望。ちゃんとしたビスタサイズで見てみたい。。 |